家を売るなら太陽光パネルは撤去すべき?「売却額UP」を左右する買い手の本音

家の売却を考えたとき、屋根の太陽光パネルをどうするか迷う人は少なくありません。

「撤去したほうが高く売れるのでは?」

「逆に残したほうが評価されるのでは?」

実は、この判断は太陽光パネルの状態や契約形態によって大きく変わります。間違った選択をすると、かえって売却額を下げてしまうことも。

この記事では、太陽光パネルを撤去すべきか残すべきか、買い手の本音をもとに判断のポイントを整理します。

太陽光パネル付き住宅、売却時の評価は?

まず知っておきたいのは、太陽光パネルがあること自体は必ずしもマイナスではないという点です。

一般的に、所有型の太陽光パネルは条件次第で売却価格にプラスの影響を与えるとされています。海外の調査では平均4%前後の価格プレミアムが報告されており、買い手にとって「電気代が抑えられる」「環境に配慮している」といった価値が評価されるケースもあります。

ただし、これには大きな前提があります。

それは「完全に所有している」こと。リースやPPA(電力購入契約)で設置した場合、第三者が所有者となるため、売却時の資産評価にはほとんど加点されません。むしろ、契約の複雑さが買い手の敬遠理由になることも。

また、太陽光パネルの状態によっては「負債」とみなされる可能性もあります。設置から10〜20年が経過している場合、発電性能の低下や将来的な交換費用が懸念材料となり、買い手は慎重になります。

つまり、パネルの年数・性能・契約形態によって、評価は大きく分かれるのが実情です。

撤去すべきか判断する3つのポイント

太陽光パネルを撤去すべきか残すべきか、以下の3つの視点で判断しましょう。

①設置年数と発電性能

メーカーによると、太陽光パネルの出力保証は一般的に25年程度です。しかし、実際の市場では設置から10年を超えると評価が下がり始め、20年を超えると資産価値はほぼゼロに近づきます。

発電量が大幅に低下している場合や、パワーコンディショナー(パワコン)の交換時期が近い場合、買い手にとっては「近い将来に修繕費がかかる設備」と映ります。

逆に、設置から5年以内で性能が保たれているなら、残すことでプラス評価を得られる可能性があります。

②FIT(固定価格買取制度)の残存期間

高単価のFIT契約が残っている場合、売電収入という明確なメリットを買い手に示すことができます。

たとえば、2012〜2014年頃に設置したパネルであれば、1kWhあたり30円台後半の高単価で売電できる権利が残っています。これは買い手にとって魅力的な条件です。

ただし、FIT契約の名義変更手続きが必要になるため、事前に手続きの可否や負担を確認しておくことが重要です。

③契約形態(所有・リース・PPA)

繰り返しになりますが、完全所有かどうかは最大の判断材料です。

リースやPPAの場合、契約を引き継ぐか解約するかの選択を迫られますが、解約金が発生するケースも多く、手続きも煩雑です。買い手からすると「面倒な物件」と感じられ、売却が長引く原因になります。

ローンが残っている場合も同様に、残債の扱いを整理しておかないと売却交渉がスムーズに進みません。

撤去する場合のメリット・デメリット

撤去を選ぶ場合、メリットとデメリットの両面を理解しておく必要があります。

撤去のメリット

最大のメリットは、買い手の不安要素を減らせることです。

太陽光パネルがあると、買い手は以下のような懸念を抱きます。

  • 屋根に穴を開けた施工で雨漏りしないか
  • 将来的に故障や交換費用がかからないか
  • 契約や保証の引き継ぎが面倒ではないか

撤去してしまえば、これらの心配がなくなり、売買が単純化されます。特に古いパネルや劣化が進んでいる場合、撤去することで「築年数相応のシンプルな物件」として売り出せます。

撤去のデメリット

一方、撤去には高額なコストと時間がかかります。

一般的に、太陽光パネルの撤去費用は数十万円規模。さらに、屋根に穴を開けて設置していた場合、その補修費用も必要です。合計すると、売却価格の上昇分を上回る出費になることも少なくありません。

また、撤去工事には見積もりから完了まで一定の期間が必要なため、売却スケジュールに影響を与える可能性もあります。

加えて、経済的メリットを完全に失うことも忘れてはいけません。まだ発電効率が良い状態のパネルを撤去してしまうのは、もったいない選択です。

残す場合の注意点

撤去せずに太陽光パネル付きで売却する場合、以下の点に注意が必要です。

情報開示と契約不適合責任

太陽光パネルは、法律上契約不適合責任の対象となります。つまり、性能や故障履歴、施工状況について正確に説明する義務があります。

「発電量が想定より低い」「過去に雨漏りがあった」といった情報を隠したまま売却すると、後からトラブルになるリスクがあります。

買い手に安心してもらうためにも、発電実績や保証書、メンテナンス履歴などの資料を事前に準備しておきましょう。

査定時の評価は限定的

もう一つ知っておくべきは、導入時の設置費用がそのまま査定額に反映されるわけではないという点です。

不動産の査定は、基本的に周辺の成約事例や市場相場をもとに算出されます。「200万円かけて設置したから、その分高く売れる」という期待は現実的ではありません。

エリアや査定担当者によっても評価は分かれるため、複数の不動産会社に査定を依頼して比較することをおすすめします。

まとめ:冷静にコスパ計算をして判断すること

太陽光パネルを撤去すべきかどうかは、一律の答えがありません。

設置年数が浅く、FIT契約が残っており、完全所有しているなら、残したほうが売却に有利に働く可能性が高いでしょう。

一方、老朽化が進んでいる、リース契約である、買い手の不安が大きいと判断される場合は、撤去を検討する価値があります。

重要なのは、費用対効果を冷静に試算すること。撤去費用と売却価格の変動を比較し、専門家の意見も聞きながら判断することが、後悔しない家の売却につながります。