FIT単価が下がったときの売電継続と撤去の損益分岐をシンプルに計算する方法

発電しているのに「もしかして赤字では」と不安を感じている方は、決して少なくないと思います。

FIT制度による売電単価や卒FIT後の買取単価は、契約内容や年度、買取メニューによって変わります。

パネルは動いている。でも維持費や修理費を引いたら、手元にほとんど残らない。

そんな状況で「いっそ撤去した方が得なのでは」と悩むケースがあります。

FIT売電単価が低い時代に、売電を続けるべきか、撤去に踏み切るべきか。

そのシンプルな損益分岐の考え方を、この記事でお伝えします。

売電単価が下がっても発電し続ける意味はあるのか

FIT終了後、売電単価は下がることがある

FIT制度とは、太陽光発電で余った電気を一定期間・一定価格で電力会社が買い取る仕組みのことです。

FIT期間中は契約で定められた単価で買い取られますが、期間終了後は別の買取メニューへ移るのが一般的です。

卒FIT以降は、FIT期間中より売電単価が下がるケースもあり、売電収入だけを頼りにするのが難しくなることがあります。

売電単価より購入する電気料金の方が高い場合は、余った電気を売るよりも自宅で使う方が経済的に有利になることがあります。

「発電しているから大丈夫」ではなく、その電気を「売るか使うか」で損得が変わることを前提に考えましょう。

売電継続か撤去か、損益分岐は3つの数字で出せる

難しく考える必要はありません。手元に揃える数字は3つだけです。

  • 年間収益 = 年間発電量(kWh)× 売電単価 + 自家消費分の電気代削減額
  • 年間純利益 = 年間収益 − 維持費(点検・保険・修理費の年割り)
  • 撤去費用 ÷ 年間純利益 = 撤去費用を回収するのに必要な年数

この「回収年数」がパネルの残り稼働年数より長ければ、撤去を検討する目安になります。

「自家消費による電気代削減」を計算に入れる

ここで見落としやすいのが、自家消費の効果です。

売電収入だけを見て「赤字だから撤去」と決めるのではなく、損益分岐の計算には自家消費で減らせた電気代も含めて考えます。

この2つを合算すると、売電継続か撤去かを現実に近い形で比較できます。

売電単価が低くても、自家消費の削減効果が大きければ、年間純利益がプラスになるケースもあります。

撤去費用は業者や条件で大きく変わる

撤去を考えるとき、最も気になるのが費用でしょう。

家庭用太陽光パネルの撤去・廃棄・運搬を含めた総費用は、屋根や設備の条件によって変わります。

条件の例費用が変わる主な理由
パネルの枚数が少なく、作業しやすい屋根作業時間や足場の有無で費用が抑えられることがあります
足場が必要、枚数が多い、廃棄や運搬が多い人件費、運搬費、処分費が増えやすくなります

屋根の形状、高さ、パネルの枚数、地域の相場によって費用は大きく変わります。

安く済むと思い込まず、複数の専門業者から見積もりを取るようにしてください。

今すぐ撤去すべきか、もう少し続けるべきか

損益分岐の計算結果と合わせて、次の状況も判断の参考にしてください。

撤去を前向きに考えたい場合

屋根のリフォームや建替えを数年以内に予定しているなら、足場を共用できるタイミングに合わせて撤去すると、工事費を節約できる可能性があります。

また、パワコン(発電した電気を家庭で使える形に変換する機器)の交換時期が近いのに、パネルの残り稼働年数が少ない場合も要注意です。

パワコンは一定年数で交換が必要になることがあり、費用も無視できません。

交換費用も含めて損益分岐を計算し直してから、撤去か継続かを判断してください。

もう少し続けることを考えたい場合

導入コストをまだ回収しきれていない場合や、昼間の電気をほぼ自家消費できている場合は、すぐに撤去しなくてもプラス収支を維持できる可能性があります。

FIT売電単価が低くても、自家消費による電気代削減の効果が出ていれば、トータルではプラスに近い収支を維持できることがあります。

まとめ:損益分岐は「年間純利益と撤去費用」を比べるだけでいい

FIT売電単価が低くなったからといって、すぐに撤去した方がよいとは限りません。

自家消費分の電気代削減を含めた年間純利益と、撤去にかかる総費用を比べる。

撤去費用を回収するのに必要な年数が、パネルの残り寿命より長ければ撤去を考える。

この考え方を使うと、判断の土台を作れます。

まずは自分の数字を当てはめて試算することが最初の一歩です。

FIT制度や電気料金は今後も変わる可能性があるため、最新の売電単価をもとに定期的に見直すことをおすすめします。