太陽光パネルを撤去しようとしたとき、「電気工事では何をするのだろう」「どの機器に触るのだろう」と疑問を感じる人は少なくありません。
撤去はパネルを屋根から外すだけでは終わりません。パワコン・接続箱・配線のそれぞれに対して、正しい順序で処理を完了させて初めて工事が終わります。
ここでは、撤去時の電気工事で何をするのかをシンプルに整理していきます。
電気工事でやること、3つに絞って理解する
太陽光発電の撤去は、電気工事・屋根工事・解体工事が重なり合う複合的な工事です。なかでも電気工事は、感電や火災といった事故を防ぐための中核を担います。
やることを大きく整理すると、次の3つになります。
- パワーコンディショナ(パワコン)の停止・撤去
- 接続箱の遮断・絶縁処理
- 直流・交流配線の切り離しと端末処理
この順番と内容を知らないまま工事に臨むと、工事中だけでなく工事後にも危険が残ります。それぞれを順に見ていきます。
ブレーカーを落としても、パネルは発電している
系統側のブレーカーを遮断しても、太陽光パネルは日射がある限り発電し続けます。 これは多くの人が見落としがちな前提です。
つまり、パネルが屋根についている間は直流回路に高い電圧がかかり続けます。直流電圧とは、乾電池と同じ方向に流れ続ける電気のことで、交流(コンセントの電気)とは異なる性質があります。専門業者によると、接続箱や配線に触れるときは必ず無電圧確認のうえで絶縁処理を行うことが基本とされています。パネルを外す最後の瞬間まで感電リスクは続くという前提で工事を進める必要があります。
パワコン撤去は、手順の順番が命
パワコンを撤去するときは、決まった順番を守らなければなりません。
まず入力開閉器と専用ブレーカーを遮断します。入力開閉器とは、パネル側からの直流電力を遮断するスイッチのことです。次に検電器で電圧がかかっていないことを確認してから配線を取り外し、最後に本体を外します。メーカーの取扱説明書では、この「停止→配線取り外し→本体撤去」の順序が明記されています。
工事が終わるまで入力開閉器はオフのまま保持してください。 作業の途中でこれをオンにしてしまうと、再び電圧がかかり、作業者が感電する危険があります。機種によって手順の細部は異なるため、その機器のメーカー取説を最優先で確認することが基本になります。
接続箱は、撤去工事で最も危険な場所
接続箱は、複数の太陽電池ストリング(パネルを直列につないだ回路のまとまり)からの直流電力が一カ所に集まる部位です。電圧が高い直流電力が集中しているため、感電リスクが特に高くなります。
業界団体のマニュアルでは、接続箱に対してストリングごとに絶縁処理と端子の適切な処理を行うよう定めています。系統側を遮断しただけで作業に入ると、パネル側からの電圧によって感電事故が起きるおそれがあります。ここが、電気工事士の資格を持つ専門業者でなければ対応できない理由のひとつです。
配線は「切り離し・絶縁・ラベリング」の3ステップで完結させる
パネルを屋根から下ろした後も、建物内に残る配線の処理を終えなければ工事は完了しません。パネルが接続されている間、直流配線には発電した電気が流れている状態が続くため、撤去の前後を通じた処理が必要です。
処理の内容は3つあります。まずパネルと接続箱をつなぐ直流配線を切り離します。次に、切り離した配線の端末に絶縁キャップなどを取り付けて絶縁処理を行います。最後に、再利用しない配線には識別表示(ラベリング)をつけます。資源エネルギー庁の資料では、再利用しない交流側配線についても絶縁処理とラベリングが必要とされています。
なお、配線と架台を撤去した後は、屋根の貫通部の防水補修もあわせて行う必要があります。 電気工事の直接の範囲ではありませんが、雨漏りを防ぐためにセットで実施すべき工程です。
電路に触れる工事は、電気工事士にしかできない
電路の接続・切断は、電気工事士の業務として法令で定められています。無資格者が電路に触れる工事を行うことは違法であり、事故が起きた場合の法的なリスクも生じます。
業者を選ぶときは、登録電気工事業者かどうかを確認し、電気工事士の資格証を提示してもらうことが基本です。また、廃棄した設備の処理責任は設備の所有者にも及ぶため、産業廃棄物の処理体制が整った業者かどうかも確認しておく必要があります。
まとめ
太陽光パネルの撤去で電気工事が関わる機器は、パワコン・接続箱・配線の3つです。それぞれに「遮断→無電圧確認→絶縁処理」という一連の手順があり、飛ばすと感電や火災につながる危険があります。
撤去を依頼する前に最低限おさえておきたいことをまとめると、以下になります。
- 日射がある間はパネルが発電し続けるため、系統のブレーカーを落とすだけでは安全にならない
- パワコン・接続箱・配線の3つすべてに、電気工事士による適切な処理が必要
- 廃棄物処理の責任は設備オーナーにも及ぶため、業者任せにせず処理体制の確認が必要
業者に丸投げしても、発注者として確認すべきことはあります。工事の全体像をあらかじめ把握しておくことが、トラブルを未然に防ぐ第一歩になります。
