太陽光パネルの「寿命」と聞いて、発電量の低下だけを気にしていませんか?
実は、発電量が保たれていても、安全面で危険な状態になっている可能性があります。設置から10年以上経過したパネルでは、配線の劣化や架台の腐食など、目に見えにくい部分で深刻な問題が進行しているケースが少なくありません。
この記事では、発電量以外の観点から太陽光パネルの寿命サインを見抜くチェックリストをご紹介します。
もくじ
お好きな項目へ読み飛ばすことができます
出力保証年数=安全に使える年数ではない
多くのメーカーが提示する出力保証は20〜25年ですが、これは「発電性能の保証」であって、安全性を保証するものではありません。
一般的に、太陽光パネルの発電量は年間0.5〜1%程度ずつ低下するとされています。しかし、パネルを構成する部材の安全性は、もっと早く劣化することがあるのです。
例えば、パネル背面のバックシートや配線の被覆材は、紫外線や温度変化によって想定より早く劣化するケースが報告されています。つまり、発電量が基準を満たしていても、感電や火災のリスクが高まっている可能性があるということです。
発電低下以外の重大な寿命サイン
感電・漏電のリスク
バックシートにひび割れや破れが生じると、内部の電気回路が露出し、絶縁性能が低下します。これにより、雨水が浸入して地絡(漏電)が発生したり、メンテナンス時に感電したりする危険性が高まります。
消防庁やNEDOのガイドラインでは、絶縁距離の低下や絶縁抵抗の低下が技術的な問題として明示されています。特に屋根の低い位置に設置されているパネルほど、人が触れる可能性があるため注意が必要です。
火災・ホットスポットの危険性
パネル内部のセルにクラック(ひび割れ)が入ったり、配線の接触不良が起きたりすると、その部分だけ異常に温度が上昇する「ホットスポット」が発生することがあります。
これが進行すると、アーク放電による火災につながる可能性があります。消防庁の事故分析や技術レビューでも、こうした事例が報告されています。問題なのは、目視だけでは検知が難しいという点です。
自分でできる外観チェックリスト
専門的な検査の前に、まずは以下の項目を目視で確認してみましょう。ただし、パネルには直接触れず、地上や窓から確認できる範囲で行ってください。
- ガラス面の割れやひび
小さなひびでも雨水浸入の原因に - パネル全体の黄変や変色
封止材の劣化サイン - 配線の被覆材の劣化
色あせ、ひび割れ、剥がれ - 架台の錆や変形
固定力の低下による落下リスク - フレームの変形や腐食
構造的な強度低下
これらの異常が見られた場合、すぐに専門業者に点検を依頼する必要があります。
専門家による検査が必要な判断基準
外観に異常が見られなくても、設置から10年以上経過している場合は、専門的な電気測定や赤外線検査を受けることをおすすめします。
専門業者が行う主な検査には、以下のようなものがあります。
- IV測定:パネルの発電特性を詳しく調べる
- 絶縁測定:感電・漏電リスクを数値で評価
- 赤外線カメラ検査:ホットスポットや内部劣化を可視化
- EL検査:セル内部のクラックを検出
消防庁のガイドラインでは、4年に1回以上の専門点検が推奨されています。特に以下に該当する場合は、発電量に問題がなくても早めの点検が必要です。
- 設置から15年以上経過している
- 台風や地震などの災害を経験した
- 売電契約(FIT)の期間が終了した
安全性に問題があれば即対応を
検査の結果、絶縁抵抗の低下や導体の露出が確認された場合、発電量が十分でも安全を優先した対応が必要です。NEDOや環境省の技術指針でも、こうした状況での早期対応が推奨されています。
逆に、外観に多少の劣化が見られても、電気的な測定で問題がなければ、すぐに撤去する必要はありません。重要なのは、専門的な検査データに基づいて判断することです。
ただし、卒FIT後の老朽化したパネルを放置すると、所有者責任が残ったまま、感電・火災・落下などのリスクが高まります。リユースや適正な撤去・リサイクルも視野に入れた判断が求められます。
まとめ:発電中でも安全とは限らない
太陽光パネルは「発電していれば問題ない」わけではありません。バックシートの破れや配線の劣化、架台の腐食など、発電量には現れない安全面の劣化が進行している可能性があります。
定期的な専門点検と、外観チェックを組み合わせることで、大きな事故を未然に防ぐことができます。特に設置から10年以上経過している場合は、一度専門業者に相談してみることをおすすめします。
安全な太陽光発電を長く続けるために、発電低下以外の寿命サインにも目を向けていきましょう。

