太陽光発電を設置したものの、いつかは訪れる撤去のタイミング。「今すぐ撤去すべきか、それとも後回しでいいのか」と悩んでいる方も多いでしょう。
結論から言えば、太陽光の撤去費用は10年後に上がる可能性が高いと考えられています。一方で、今すぐ撤去すれば残りの発電収入を失うというジレンマも。
この記事では、撤去費用の構造と将来の変動要因を整理し、損をしないための判断材料を提供します。
もくじ
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撤去費用の現状|いま頼むといくらかかる?
まず、太陽光撤去費の現在の相場を把握しておきましょう。
住宅用(屋根置き)の場合、作業費・運搬費・処分費を合わせて15万円前後が一つの目安です。パネル約20枚の撤去に約10万円、運搬・処分に約5万円という内訳が一般的とされています。ただし、屋根材の種類や設置工法、補修の有無によって増減します。
産業用・野立ての場合は、kW単価で管理されるのが通常です。パネルと架台の撤去が約0.57万円/kW、基礎の撤去が約1.0〜1.4万円/kWという調査結果があります。特に基礎撤去が費用の大きな割合を占めるため、コンクリート基礎かスクリュー基礎かで数万円単位の差が出ることも珍しくありません。
処分・リサイクル費用も無視できません。パネル1枚あたり2,000〜4,000円、kW換算で約12,600円という試算もあり、スクラップ価値では費用を相殺できないのが現状です。
10年後に撤去費が上がる理由とは
では、なぜ将来の撤去費用は上がると言われるのでしょうか。主な要因は以下の3つです。
廃棄量の急増による需給バランスの崩れ
2030〜2040年代に太陽光パネルの廃棄量が急増する見込みです。大量導入期に設置された設備が一斉に廃棄期を迎えるためで、国際機関の報告でも指摘されています。処分業者の対応能力を超えれば、費用は上昇せざるを得ません。
環境・安全規制の強化
有害物質規制やリサイクル義務化の議論が進んでおり、規制が強化されれば処理工程が増え、コスト増につながります。具体的な施行時期は未確定ですが、方向性としては避けられない流れと言えるでしょう。
人件費・物価の長期的な上昇
撤去作業は解体・運搬といった人手に依存する業務です。長期的にインフレの影響を受けやすく、人件費や燃料費の上昇がそのまま撤去費に反映される構造になっています。
一方で、技術進展による低減の可能性もゼロではありませんが、現状では回収価値より処理費用が上回る「負のサルベージ」状態。商用化の速度には不確実性があります。
「今すぐ」vs「あとで」撤去|どちらが得か
ここで本題です。今すぐ撤去する場合と後回しにする場合、どちらが金銭的に有利なのでしょうか。
| 比較項目 | 今すぐ撤去 | あとで撤去 |
|---|---|---|
| 撤去費用 | 現在の相場(15万円前後〜) | 将来は上昇リスク |
| 発電収入 | 失う | 継続して得られる |
| 制度リスク | なし | 積立金不足の可能性 |
判断のポイントは、発電利益と将来の撤去費用上昇のトレードオフです。
例えば、まだ十分に発電している設備なら、撤去費が多少上がっても発電収入で相殺できる可能性があります。一方で、発電効率が落ちている設備や、売電価格が低い場合は、撤去費が上がる前に処分する選択肢も合理的です。
また、産業用では積立制度がありますが、現行の積立基準は2019年の調査ベースであり、将来の実費を全額賄えない可能性も指摘されています。住宅用の場合、制度適用外のケースも多く、自己負担を前提に計画する必要があります。
まとめ:損をしないための3つのチェックポイント
太陽光撤去費は将来上がる可能性が高いものの、今すぐ撤去すべきかは個別の状況次第です。以下の点を確認しましょう。
- 現在の発電収入と残存期待年数
まだ十分に発電しているなら、費用上昇分を収入で吸収できる可能性がある - 見積の内訳確認
撤去・運搬・処分・諸経費が分解されているか。「一式」表記は比較が困難 - 業者の許可・実績
無許可処分は法的責任リスクがあるため、処分体制の確認が不可欠
廃棄ピーク期には需給が逼迫し、費用がさらに高騰するリスクもあります。早めの情報収集と計画的な判断が、結果的に損をしない選択につながるでしょう。

